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ペルシア語が結んだ世界―もうひとつのユーラシア史 (スラブ・ユーラシア叢書)
 
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ペルシア語が結んだ世界―もうひとつのユーラシア史 (スラブ・ユーラシア叢書) (単行本)

by 森本 一夫 (編集)
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Product Description

内容紹介

現在はイランなどで用いられるにすぎないペルシア語は,長きにわたり広大な一帯で用いられていた。本書は文献資料をもとに,王朝の盛衰や人の移動・交流に伴う,使用状況や文語としての「威信」の変化を検討する。

内容(「BOOK」データベースより)

かつてユーラシアの広大な一帯で理解され、使われていたペルシア語。多言語が共存する環境で、ペルシア語はどのように使われていたのか。人々のペルシア語に対する意識はどのようなものだったのか。文献史料の検討により、「ペルシア語文化圏」という枠組みを考える。

Product Details

  • 単行本: 270 pages
  • Publisher: 北海道大学出版会 (2009/6/25)
  • Language: 日本語
  • ISBN-10: 4832967126
  • ISBN-13: 978-4832967120
  • Release Date: 2009/6/25
  • Product Dimensions: 8.3 x 5.9 x 0.7 inches
  • Average Customer Review: 5.0 out of 5 stars  See all reviews (2 customer reviews)
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5.0 out of 5 stars このような書籍がもっと増えて欲しい, 2009/11/29
By solaris1 (東京都中野区) - See all my reviews
 わたしの名は「紅」で、ティムール朝が身近な過去として描かれ、アクバル治下のインドが「同じ世界」とも感じられる描き方をされていたことで、この時代・地域に興味を持ち、本書を読んでみた。

 非常に面白く、様々な知見を得ることができ、3000円はいい買い物だった。オスマン朝・サファヴィー朝・ムガル朝でペルシア語が行政・文芸語だったのは知っていたが、ラテン語やサンスクリット語・古代漢語・シュメール語などが、口語としては死語となって以降も、学術分野や行政分野で古典文語として生き延びたのと同じだと漠然と思いこんでいた。しかし、実態は近世欧州におけるフランス語同様に生きた言語としての流行であり、近世ペルシア語の流行は、古代ペルシア以来の歴史的イラン世界が直接影響しているのかと思い込んでいたが、どうやら近世でのフランス語の流行と古代ローマとの関係と同じ程度な様である。

 また、近代国民国家史観からすると、サファヴィー朝はイラン史、ムガル朝はインド史となり、セルジューク朝やチムール朝などは収まりが悪い感じがあったのだが、「ペルシア語文化圏」と括ることでスッキリするようになった。ムガル朝はインド史ではあっても「インド世界」とは思えなくなり、サファヴィー朝は「ペルシア語文化圏」の一端に過ぎないと感じられるようになった。8人の論者の視点や素材が異なる為、10世紀から19世紀の「ペルシア語文化圏」における詩人伝の成立過程や法廷業務・知識人の教育課程・歴史書の歴史観など様々な、ミクロな切り口からこの歴史的世界の社会の一端を伺い知ることができ、それぞれの地域や時代への関心を掻き立てられた。現地語であるトルコ系言語やヒンドゥー系言語との関係や、現地語自身の状況にも触れられており、一読後、あまり格好のよくない題名は、実は微妙な意図をうまく言い表した絶妙なタイトルなのだと思えるようになった。日本の歴史出版は、まだまだ未開拓地があるのだと改めて思った。
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5.0 out of 5 stars ペルシア語って実はスゴイ, 2009/9/24
By 菅原純 (東京都稲城市) - See all my reviews
本書は要するにペルシア語オリエンテッドで歴史を考えようという、業界的にはまあ常識的ではありながら、世間的には十全に受け入れられているとは言い難い視点から編まれた論集です。ペルシア語はイランの言葉だと簡単にくくられがち(いや、そもそもペルシャ語とイランが結びつかない人も結構多いかも)です。しかし実際はタジキスタンやアフガニスタンでも公用語として用いられており、歴史的にはもっと広い領域で使用されていた言語でした。いささかステレオタイプな言い回しを用いるならば、ペルシア語はイスラーム世界においてはなんと言っても文学(そして意外に外交でも)一定のプレゼンスを持ち広く用いられた「フランス語」のような立場の言葉だと言えば、あるいはお分かりいただける方もいらっしゃるでしょうか。本書ではそういう文化的・歴史的な枠組みに「ペルシア語文化圏」という名称を設定し、8名の執筆者がそれぞれの視点からこの枠組みを検討しています。

以下、本書の内容を示します:

序章 物を書くことから見たペルシア語文化圏:その面的把握をこえて (森本一夫)
第1部 文献ジャンルから見たペルシア語文化圏
第1章 ペルシア語詩人伝の系譜:韻文学の隆盛と伝播 (近藤信彰)
第2章 ペルシア語文化圏におけるスーフィー文献著述言語の変遷とその意義 (矢島洋一)
第3章 イスラーム法とペルシア語:近現代西トルキスタンの法曹界 (磯貝健一)
第2部 地域から見たペルシア語文化圏
第4章 中央アジアにおけるテュルク語文学の発展とペルシア語 (菅原睦)
第5章 18世紀クリミアのオスマン語史書『諸情報の要諦』における歴史叙述:ペルシア語文献からの影響を中心に (川口琢司)
第6章 清代の中国ムスリムにおけるペルシア語文化受容 (中西竜也)
第7章 南アジア史におけるペルシア語文化の諸相

個別の紹介はここでは長くなるので省略します。どれも面白い内容ですのでお勧めです。

手前勝手(?)な話題ながら
東トルキスタンにおいてもかつてペルシア語は文章語として使用されており、18世紀ごろまでの著作や一部の文書史料はペルシア語で書かれたものが今に伝わっています。これがテュルク語、いわゆるチャガタイ語に転換していくのがたしか18世紀中葉で、おそらくこのころからペルシア語を読めない(テュルク語しか解さない)読者層が登場してきたのであろうと言われています(濱田正美「19世紀ウイグル歴史文献序説」『東方學報』55-4, pp.359-360)。私は19世紀〜20世紀あたりの文献をよく漁っていますが、宗教文献や文学作品などは比較的近代になってもペルシア語文献は新疆ではよく読まれていた形跡がありますし、イスラーム法廷でムフティーが出すファトワー(法的意見)はおおむねペルシア語で書かれていたようです。また19世紀末にコーカンドから到来したヤークーブ・ベグ政権は西トルキスタン出身者の政権だけあってペルシア語色もなかなか強く、アブド・アッラー・パーンサドの『新史Tarikh-i sighari』はペルシア語で書かれています(厳密には著者は目が見えなかったので口述?)し、外交文書はペルシア語ではなかったでしたっけ(今やうろ覚え)。ともあれ、新疆にあってもペルシア語は結構なプレゼンスを有していたということができるでしょう。
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