太平洋戦争の最前線で日本兵と死闘を繰り返し、生き抜いて来たアメリカ海兵隊員の手記である。
日本人の自分が読むには複雑な感情が湧き起こるだろうと覚悟していたが、読後感は意外にもとても良い。一気に読み上げた。読後1ヶ月後にこのレビューを書いている。
沖縄に多くの友人を持つ自分にとって、沖縄をどう見て、どう考えながらつきあうべきか?とずっと思っていた。そんな時、ネット上の推薦記事を読んでこの本を手にした。久しぶりに良い本に出会った。
海兵隊を退役後大学教授をつとめ、30年経ってから書いたという。アメリカ人知識層が自分の経験を手記にしただけあり、このジャンルの書籍としては最も優秀だと思う。正直言って名著だと思う。数年前に他界されたそうで残念だ。
当時の海兵隊が強いのは「厳しい訓練」「戦友との絆」そして「日本人(兵?)への憎しみ」を挙げているが、以外だったのは、著者に対しても、米軍に対しても憎悪の気持ちが湧いて来なかった事である。むしろ、戦友を次々に亡くしながらも任務に励む兵士達に同情の念さえ湧いてきた。著者も、衛生兵(ドク)や通信兵を執拗に狙って狙撃(国際法違反?)してくる日本兵に激怒や憎悪しながらも、その腕前に敬服したり、沖縄戦では、一般人や女子供には絶対手を出すなと命令を受けていたり、「鬼畜米英」「竹槍戦法」などと国民総玉砕に傾倒した日本人とはだいぶ考え方が異なるようだ。
この本の最大の価値は何と言ってもリアルな戦争とはどんなものかを惜しみ無く書き記している事である。戦友や敵兵の屍体から湧き出るウジ虫や悪臭に堪えながらの何日にも渡る野戦、敵兵の金歯を抜き取る戦友、下半身を切り取られ口に突っ込まれて死んでいる戦友、首から上が吹っ飛んだまま立っている敵士官など、およそ戦争映画や他の書籍には出てこないであろう「野蛮」「猟奇」「残酷」「この世の地獄」といった戦争の現実という現実が整然と書かれており、カッコイイ戦争などどこにも無い。だからこそ、著者が繰り返し主張する「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」という言葉に改めて重みを感じる。
昔聞いた「南方で、蛇、トカゲ、蛆を食べて生き延びた」という祖父や叔父の話が、自分の頭の中で辻褄が合った。
死の恐怖という、常時緊張し極限の状態においても、事実のメモを怠らなかったという著者は文字通り「命を懸けたジャーナリスト」だと思います。
無謀と解っていながらも開戦に突き進んだ日本のリーダ共の愚かな過ちに、物言わず犠牲になった多くの戦死者の方々に、今もご冥福を祈らざるを得ない。
「元敵兵」の書いた手記ではあるが、硫黄島の映画などのように戦勝国絶対正義みたいなものとは全く違う。当時の事実を確認、知るために非常に有益な書籍である。必要な情報が、安価でしかも普通に入手できるというところは、アメリカの良い面である。
日本人が、日本で沖縄戦について知ろうとすると非常に苦労する。国民性なのか?何かまずい事でもあるのか?
どうも変な賞賛、隠避、捏造の影が見え隠れする。
当時を知る証人が数少なくなってきたが、ぜひ日本人からも、ジャーナリズムに富んだ書籍が産まれることを切に望みます。
■本書は「ザ・パシフィック」で映画化されているようです。他の方も書かれていたと思いますが、できれば本書を読み終え、自分なりの
イメージを作ってから視覚化メディアにふれた方が良いと思います。それだけ深い本です。言い換えれば、それだけ難しい本かも知れません。
お薦めです。
■レビュー書き込み後、アマゾンのおすすめ広告に目が止まりました。
沖縄戦ではないが、生き残りの元日本兵が書いた手記です。私はこれから読んでみようと思ってます。レビューを読む限り良さそうですのでリンクしておきます。
最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記 (光人社NF文庫)↑↑元日本兵の手記を読みました。残念です。1/5でした。