医学史上の発見を小著にするのはなかなか難しい。既知の本の単なる焼き直しになり兼ねないからです。著者の画像診断学講義の際の雑談が学生に好評だったことから生まれた医療診断技術・機器開発に関連するエピソードは、体温測定や脈拍診断、血圧測定といった当たり前の診断が比較的近年の発明だったことを書いていて新鮮な話題です。前半は診断篇13、後半は治療篇12ですが、診断篇の方が目新しい話題が多く(前述の体温等や色覚、心臓カテーテル、胃カメラ、CT、MRI)、楽しめました。後半も注射器や人工心肺、ペースメーカー、セックス・カウンセリングなど他の本にあまり取り上げていない話題もあり、高校の生物教師などには大変有用です。「はじめに」に挙げられている総説(梶田昭、茨木保、酒井シヅ)も的確だと思います。