世紀末に奇跡の完全復活を遂げた悲劇の天才、ブライアン・ウィルソン。私も来日公演の初日大阪で、感涙にむせんだ一人であるが、元来のライブ嫌いが嘘のように、カムバック後は精力的にライブを行っている。
ある意味、ブライアンは、ライヴという場を借りて、信頼できるバンドメンバーと、誰よりも彼を応援してきた暖かいファンの前で、自身の失われた30年間を取り戻す作業をしているようにも思える。今年は幻の「スマイル」再現も果たした彼が2年前に実現させた世紀の傑作「ペット・サウンズ」を、発表当時唯一この作品をリスペクトした英国ロンドンで披露した歴史的公演の記録が本作である。
忠実なコピーではなく、随所に現代的な解釈でのアレンジも施された極上の演奏に乗せて、ブライアンの魂から出るかのような無垢な歌声が聴こえたとき、感動せずにどうしろというのか、胸がゆさぶられる。
客席には、エルヴィス・コステロ、ロジャー・ダルトリー、そしてポール・マッカートニーなど、大勢の音楽関係者も詰め掛けていたそうだが、中にはやはり涙を隠しきれない人もいたようだ。それほどの、「泣けるほど感動的なポップス」の姿がここにある。
また、特典映像として、ブライアン及び「ペット・サウンズ」製作に関ったミュージシャン達の現在のコメントからなる『ペット・ストーリーズ』という40分の作品が収められているが、これが最高! キャロル・ケイとブライアンがベースとピアノをバックに「神のみぞ知る」を演奏する場面など、感動で胸が震えるほどだ。
全ての音楽ファンに観て欲しい素晴らしい映像作品だ。