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ペスト (新潮文庫)
 
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ペスト (新潮文庫) [文庫]

カミュ , Albert Camus , 宮崎 嶺雄
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

カミュ
1913‐1960。アルジェリア生れ。フランス人入植者の父が幼時に戦死、不自由な子供時代を送る。高等中学の師の影響で文学に目覚める。アルジェ大学卒業後、新聞記者となり、第2次大戦時は反戦記事を書き活躍。またアマチュア劇団の活動に情熱を注ぐ。1942年『異邦人』が絶賛され、『ペスト』『カリギュラ』等で地位を固めるが、’51年『反抗的人間』を巡りサルトルと論争し、次第に孤立。以後、持病の肺病と闘いつつ、『転落』等を発表。’57年ノーベル文学賞受賞。交通事故で死去

宮崎 嶺雄
1908‐1980。東京生れ。東京帝大心理学科中退。岸田国士に師事、バルザック、サンド、メリメ、カミュ等、多くの仏文学を翻訳紹介。’41年、フランス文学賞受賞。戦後創元社編集長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 476ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1969/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4102114033
  • ISBN-13: 978-4102114032
  • 発売日: 1969/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:文庫
 「新聞は当然、何事があろうとも楽観主義をという、つねづね教えられている禁令に従っていた。新聞紙上でみると、現在の事態の顕著な特色というべきものは、すなわち市民が示している「平静と沈着との感動すべき実例」であった。しかし、(中略)市当局によって示される「実例」などにだまされる者はなかった。」(283p)

 これは本書後半で描かれるペスト流行期の町の様子なのだが、何人かの他のレビュアーの方も触れている通り、震災後の日本のメディアと行政による放射能汚染への対応にまるっきり被るのが寒々しい。本書の大半は閉じ込められた町の中で人々がじわじわと死と向き合う描写で、実際、僕は途中までカフカを読むような心地で本書を読んでいたのだが、同じ「不条理文学」の一言で一纏めにされがちなカフカと違い、カミュは医者、新聞記者、役人、神父、犯罪逃亡者、ボランティア等など、様々な登場人物が各々の立場で「死」という逃れられない運命を前にいかに考え、煩悶し、抵抗/行動するかということを描写している。そのタッチは冷静で理屈にあった説得力とリアリティがあり、「不条理」でも何でもなかったりするのだが、敢えてこの言葉を使うなら、そのような個々のエピソードを包含する「世界」、そして何よりも「死」という誰も逃れられない運命に直面することこそが「不条理」なものなのではないだろうか。

 上記のような生死論、南仏の太陽の光、といった要素は他のカミュの作品でも共通するなのだが、二十年程の短い作家人生のうち初期の五年を費やした本書は他の作品と違った緻密な構成とポジティブさがある。(登場人物の各々の役割や時代背景については訳者の解説が詳しい。)長い作品だが、突如終盤にストーリーが大きく動き出して、個々の登場人物の運命も激変するので、じっくり味わって読んでほしい。

 それにしても、全体としては暗鬱としたストーリーなのに不思議とポジティブな読後感を与えられる点も「不条理」と言えなくもない。勿論、カミュの評論を読むと彼にとっての死生観や「不条理」の哲学はポジティブな要素を含んでいるので、これも当たり前と言えば当たり前なのだろうが。
 
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27 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By いせむし トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
生と死、善と悪、そして神の救済の意味を問うた長編。
かつて熱烈なキリスト教信者であったカミュは、
創作を通じて神の存在を問い続けた。

「ペスト」はカミュの作品中、もっとも大きな構想、長いストーリー、たくさんの登場人物を擁した傑作だ。
タルーを始めとする登場人物は、必死に思考し、行動する。
ペストが蔓延した街は封鎖され、ストーリーは一気に加速する。
最後はどうなるのか、惹き込まれる。
テーマはずしりと重いのだが、
「ペスト」は娯楽小説としてのクオリティーが素晴らしく高い。
アルジェリアの港町の描写がすばらしくエキゾチック。
このノーベル賞作家の作品中、もっとも大衆的でもあると思う。
そこが特筆すべき点なのだ。

ぜひご一読を。
このレビューは参考になりましたか?
43 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
青春時代に読んで理解しにくかった本を、ある程度の年齢を重ねてから読みかえす。若かりし頃によくわからなかった本の内容が、今ではしみいるように心に届いてくる。こういうのはいい読書体験だ。私もそろそろそんな風に本をもう一度読みかえしてみる歳になってきた。
この「ペスト」もそういう本として再読した。

再び読んでみて、かつてこの本から感銘を受けなかったのは、私の感性が未熟だったからではなく、訳文が悪すぎるからだとわかった。こりゃひどい悪文だよ。

たとえば、P192主人公リウ―医師と、副主人公タル―の会話。
「知りませんね。僕の道徳ですかね、あるいは。」
「どんな道徳です。つまり?」
「理解すること、です。」
ここの箇所は、この小説のキモともいえる部分だと思うが、この「理解すること」というのはもちろん原文はフランス語だが、この訳語では適切ではないと思う。もっとカミュの思想を一言で表したような言葉のはずだと感じている。訳者がカミュの思想を理解していないので、こんな訳文にしかなっていないのだろう。

さらにさらに、P346「万聖節」→感謝祭のことだろ。P347「神前使節隊」→なんじゃそりゃ? 聖歌隊のことか。
とまあ、訳語もわけわかんない。

この小説を真に理解し味わうために、新訳が望まれる。この訳文では小説の真髄を十分に現しているとはいえない。こんな悪文のために「ペスト」が日本であまり受容されないのだとしたら、これほど残念なことはない。
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