全編にわたって園田氏自身の手によってペダルとアーティキュレーションを補完しているのが特徴の楽譜です。したがって専門家には向きませんが、初めてこの曲を弾く人には大変有用だと思います。初心者にいきなりヘンレ版で弾けと言っても無理ですからね。プロの演奏者の理想と、一般レスナーの現実は違います。
なお、この楽譜ではオリジナルと補完部分の区別がつきにくいので、上級者は原典版を別途購入する必要があると思います。また、解説において「第一楽章の提示部をリピートする際には、序奏まで戻って弾くことは自明である」などと断言しておられますが、いかがなものかと。実際には序奏を繰り返さない人も多く、判断は個々の演奏者にゆだねるものだと思います。こういうところが園田氏らしいと言えばらしいのですが、彼の思い込みや独断で書かれた部分も多いので、あくまでも園田氏というフィルターを通した楽譜・解説であることを意識した方が良いと思います。
特筆すべき点として、運指が手の小さな日本人向けに工夫されていますので、ほかの原典版よりは弾きやすいと思います。ヘンレ版は10度が届くのが前提の運指になっており日本人には苦しいので、そういう方は参考になさると良いと思います。