作曲家の生涯を紹介する新潮文庫のシリーズ。様々な資料や研究、残された手紙などからベートーヴェンがどのような生活を送り、作曲していったのかを探っている。作品の一つ一つがどのような状況下で作られたか、誰のためにかかれたのかなどがよく分かる。
また、失恋、病気、人間関係などが感情移入することなく、客観的に書かれているので、事実をよく把握できる。CDのライナーノーツの長編みたいな感じだ。写真や絵も多く、ベートーヴェンが関わった土地、交友関係、建物などが沢山使われているので文章と合わせながら、「こんな人かあ」などとと見ることが出来る。作品を聴いた上で読むと当時の背景がよく分かるだろう。
ただ、感情移入していないのと、ベートーヴェンの苦悩などを推測したり、意見をあまり述べたりしていない分、ベートーヴェンの心理状況についてはわかりにくい。あくまで最新の研究を元にベートーヴェン像を外側から捉えた解説書である。
文庫本という手軽さもあって、ベートーヴェンを聴いて少しでも人物像に興味を持ったのなら、読んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに私は、もう少し心理に迫るドキュメントのような文章の方が好みなので、星一つ削りました。例えそれが、著者の志向や意見のようなものであっても。