本書はベートーヴェンの作品のうち170曲余りについて約550ページに渡り、ジャンル別に「概説」と「解説」を書いたものである。平均して1曲あたり3ページというところか。「概説」は、その曲が書かれた経緯、時代背景、ベートーヴェンの交友関係や健康状態、初演や出版の状況、誰に献呈したのかなどが書いてあり、「解説」ではその曲の楽章ごとに譜例をあげながら、主題、動機、展開部、再現部など曲自体の説明がある。
もちろん、曲によって概説等のページ数に差があり、一番ページ数が多いのは「フィデリオ」であるのは当然として、次いで「英雄」「第九」「荘厳ミサ曲」などは8ページに渡って概説と解説が載っている一方で、「アデライーデ」「君を愛す」などの歌曲は1ページあたり2曲という分量である。
曲によっては、もっと詳しく知りたいと思ったり、たったこれだけしか書いてないのかと不満を感じたりすることもあるが、そういうときは他の本を参照すればよい。最近は、輸入盤のCDを買うことが多く、曲の解説は小さい横文字で書いてあるだけなので、本書のような解説書が1冊あると大変便利である。