全体的に遅めのテンポをとった、気宇壮大な演奏です。その巨匠的な演奏スタイルが絶頂期に達していたジュリーニと、カラヤン時代の輝かしい音色を維持していたベルリン・フィルが、がっぷり四つに組んで火花を散らしている、という感じで、特に第1楽章のスケールの大きさ、迫力は壮絶なものがあります。冒頭主題がティンパニ強打を伴って再現される箇所など、この曲のあらゆる録音中でも最高のものではないかと思います。第3楽章の包まれるような暖かみもジュリーニならでは。第4楽章に行かずにこのままずっと浸っていたい、とすら思えてきます。残念なのは、終楽章が合唱、独唱、録音ともに今ひとつなこと。録音が89年2月、90年2月と、2年にまたがってしまっていることが要因の一つかもしれません。