本CD、ジョージ・セル晩年の貴重なライヴ。オーケストラはニュー・フィルハーモニア・オーケストラと合唱団、会場は1968年11月12日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホール。曲目は面白く、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』がメインであるが、その前に何と同じベートーヴェンの交響曲第8番を演奏している。2枚組のCDであるが、1枚目はだからベートーヴェンの8番だけが収録されている。
セルと言えば何と言ってもクリーヴランド管弦楽団であるが、これだけの指揮者であるから、当然どのようなオーケストラであっても超一流の演奏を引き出すことは間違いがない。それにしても、ゴタゴタがあって随分苦労したはずのニュー・フィルハーモニア・オーケストラ、実に素晴らしいオーケストラであるし、この演奏も見事! メンバーの優秀さも随所に窺うことができるが、この演奏会でのオケの切れ味の良いレスポンスの鋭敏さは特筆すべきである。そしてセルの白熱ぶりといえば、これまた思わず最後まで聴いてしまう名演である。ライヴのセルはダイナミックだという評価は、ファンの間では以前からあるのであるが、本CDはそれを十分に裏付ける。録音も、放送局のものであるので、クリアーで素晴らしい。だから、セルのファンであるとかいった条件なしに、お薦めできる名演。会場の熱狂も凄いが、CDで聴いても、小生、久々に圧倒された。
因みに第9、ソプラノはヒザー・ハーパー、メゾ・ソプラノはジャネット・ベーカー、テノールがロナルド・ダウド、バスがフランツ・クラスと、なかなか贅沢で、見事なアンサンブルを聴かせてくれる。