演奏については、私ごときが今更語るまでもないほど世界中で賞讃され続け愛され続けている名演中の名演だ。あらゆるクラシック音楽の録音の中で、これら2曲の録音をベストに挙げる人も多かろうと思う。
これは、その名演のSHM仕様のシングルレイヤーのSACDである。
その音は、修復されたルネサンスの名画を観るかのような印象だ。
音像が明確であるということ以上に、空気感が感じられることが何よりも嬉しい。
前にレビューを書かれている方が、楽友協会大ホールの響きが感じられるというようなことを書かれていたが、なるほどなと納得した。
個々の楽器の音は明瞭ではあるが、個別に音の輪郭が強調されるようなことはなく、全体の響きに溶け合って調和し何とも言えない美しさだ。
ウィーン・フィルの魅力は語りつくせぬものの、先ず、響きの一体感が何よりも美しい。このSACD版ではそれが実によく表現されており、その美しい音にどっぷりと浸っていると、本当に幸せな気持ちになる。
CD版では、SHM仕様版ですら、高音域の音(特にヴァイオリン)がややヒステリックに響くところがあった。第5の第4楽章は、特にそれが顕著で硬直した高音が好きになれなかったが、このSACD版では高音が伸びやかで力みを感じることが全くない。第7でも同じく、力強さやスケール感が増していながら、音には力みが全くない。
CD版でも十分名演ぶりは実感できるが、このSACD版の演奏の立姿の美しさ、力強さ、品格の高さを実感してしまうと、もうCD版は聴けそうにない。
こんな風に書くと、劇的な音の違いを期待されてしまいそうだが、10万円未満のコンポの音が、百万円クラスのハイエンドオーディオのような音になる訳もなく、いくら何でもそんなには劇的に違わないので、あまり音の違いに期待し過ぎない方が良いかもしれない。音の印象が違うという程度のことをどの程度楽しむかといった感じだ。こういうのって、やっぱりマニアックだよなぁ。。。
ちなみに、SACD/CDのハイブリッド版ではないため、通常のCDプレーヤーでは聴けないのでご注意を。