中学生の時にFM放送で聴いたベーム/BPOの「ザ・グレート」とワルター/コロンビアsoの「田園」の2曲に強い感銘を受けたのがクラシックを本格的に聴くきっかけであった.その後父にLPを買って貰い,毎日の様に聴いていた事を覚えている. 本盤は「運命」と「田園」から成っているが「運命」は劇的なだけではなく余裕や暖かみを絶妙な割合で調合した名演奏で,「田園」も全般的に暖かさに満ちており,第4楽章の「雷雨と嵐」でも荒々しさを表しながらも決して過度にならず上品に終楽章へとつなげている.これはワルターの老練のなせる業と言えるだろう. 「運命」「田園」には様々な名盤が存在しているが,本盤はフルトヴェングラー,カラヤン,ベーム,コンヴィチュニー,シュミット=イッセルシュテット,スウィトナー同様(各々に解釈の相違はあるが),この様に演奏するものだという一つの規範を示したものだと思う. 余談になるが,ライナーノーツの三浦淳史の「田園」の解説も見物である.