DGの名盤がオリジナル・イメージ・ビット・プロセッシング+ルビジウム・カッティングの技術で高音質化され、今月50タイトル発売された。来月さらに50タイトル発売されるが、この20世紀の不滅の音楽遺産というべき本作が高音質でかつお求めやすい合計100タイトルの目玉の1つであることは間違いないだろう。クライバー指揮ウィーン・フィルによる74、75年録音のベートーヴェン交響曲第5番・第7番のカップリングは過去に様々なフォーマットのものが発売されている。私は過去の高音質盤、特にSHM−CDエディションと聴き比べた訳ではないが、本作を聴いて、少ないノイズでLP時代のふくよかな質感に包まれる心地よさを感じたことは述べておきたい。
内容に関しては、ベートーヴェン交響曲第5番・第7番に着目するなら、本作が第1位に選ばれるべき決定的名盤だという定評に私も同意する。両方の曲を通じてリズムの歯切れの良さとスケールの大きさが圧巻。第5番は有名な冒頭の音の重量感から圧倒されるが、私は特に第4楽章が好きだ。音楽を聴く本質的な喜びに浸ることができる。第7番は、心が浮き立つ第1・第3・第4楽章もさることながら、第2楽章が至高の名演だ。人間のメランコリックな感情を包摂するように進行するオーケストラの調べは素晴らしい。サラ・ブライトマンがアルバム「ラ・ルーナ」で詞をつけて歌ったのが第7番の第2楽章。サラ等を通じてクラシックに関心を持った人がベートーヴェンの交響曲は何から聴こうかと迷うなら、本作はお薦めの1枚だ。