“ずしりと腹に響く、重量級のエロイカ”と、帯には書いてありますが、私にはやや女性的な響きを特徴とするウィーン・フィルによって、むしろきめ細かく雄大な仕上がりになった演奏だと思えます。 きめ細かいーということについてなんですが、エロイカという曲は(独断なのですが)、私の様な素人クラシック・ファンにとっては一つの試金石的な作品だと思います。 有名な第一楽章を下手な演奏で聴いていると、だいたい6分過ぎあたりから退屈になってしまうのです。 その点、この演奏はかなりのスロー・テンポにもかかわらず最後の最後までじっくりと味わい深く堪能できました。 11分50秒目あたりからやって来る弦の調べには“来るぞ、来るぞ”と心をワクワクさせるものがあります。 壮麗―という言葉がまさにぴったりの第二楽章もいいです。 フルトウェングラー信奉者でもなんでもない私が聴いても、これは見事な演奏だと素直に思えます。 確かに古い録音ですが、音質はかなり良く、持っていて損のない一枚だと思います。