すごいカップリングのCDですね。 この2曲の演奏ならとりあえずこの一枚を買っておけば他にはいらないだろうというくらいのものです。 ワルターの奏でる“田園”といえばもう何十年も昔からこの曲の代名詞的存在。 黒澤明といえば“七人の侍”というようなもので、あらためて何か言うも野暮なのですが、第一楽章の出だしはもとより、私はとりわけ第三楽章の、まるでそれぞれの楽器が色とりどりの花をさかせているかのような至福の五分間を聴いていつも歓喜に身をよじっています。
交響曲第二番のほうは、“運命”や“田園”のように、誰もが口ずさめるメロディーというものが無く、それだけにこの曲の真価を伝えるのはひとえに演奏者の腕にかかっていると思うのですが、ワルター盤の演奏は第一楽章の出だしからぐいぐいとリスナーを引っ張っていきます。 希望に燃えた若者が朝の道を駆けていくといった風情の中間部は、これぞまさしくベートーヴェンという感じがします。 後の“英雄”や“第九”の萌芽らしき旋律も出てきます。 フィナーレは本当に胸躍る力強さ+爽やかさ。 第三、四楽章も基本的に同じ雰囲気の親しみやすい小曲ですが、特筆すべきは第二楽章。 まるでシューベルト?と思わせるかのようなロマンティシズム、それでいてその力強い造形力はまさしくベートーヴェンならではのものです。 “田園”の第三楽章もそうなのですが、ベートーヴェンの、さまざまな楽器の音色をよく生かしながら、実に重層的に音の大伽藍を組み立てていくオーケストレーションの妙技が、ワルターの演奏にかかるとあたかも目に見えるかのように伝わってきて、“そうか、これが交響曲の真髄なんだ!”と、思わず感嘆させられます。 とにかくまだお聴きになったことがない方には断然お薦めの一枚です。 これは見事な演奏ですよ。