◎ 内容
ベーシック・インカムは直接的には新しい社会保障の考え方であり、
何より貧困問題の解消に一役買うことができると私は考えているけれども、本書は社会保障についての技術的なものではなく、
もう少し別なものを目指している。
個人の生活と社会の関係、労働とは何か、
といった事柄について改めて考えてみる、
そんな本のつもりである。
(「はじめに」より抜粋)
近年におけるグローバリゼーションのなかで、
約二〇〇年の歴史をもつ「ベーシック・インカム(基本所得)」の概念が
世界的に注目を集めている。
この新しい仕組みは、現代社会に何をもたらすのか。
労働、ジェンダー、グローバリゼーション、所有......の問題を、
あらゆる角度から捉え直す。
◎ プロフィール
山森亮(やまもりとおる)
1970年神奈川県生まれ。京都大学大学院経済学研究科修了。
東京都立大学、ケンブリッジ大学研究員などを経て、
同志社大学経済学部教員。専攻は社会政策。
共著に『経済学とジェンダー』(明石書店)、『福祉国家の変貌』(東信堂)、
『ポスト・リベラリズム』(ナカニシヤ出版)、
『アマルティア・センの世界』(晃洋書房)などがある。
ベーシック・インカムについては国際学術誌Basic Income Studiesの
編集委員を務めた他、日本では雑誌「現代思想」、
「VOL」、「経済セミナー」などに寄稿。
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20 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
生きていることの対価とは?,
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レビュー対象商品: ベーシック・インカム入門 (光文社新書) (新書)
現行制度下の生活保護は申請主義であること、不正受給を防ぐための資力調査のために多くの社会的コストが発生するためセーフティネットとしての機能が不十分であり、生きていることのみをその受給条件とするベーシック・インカムの実現がこれを可能にする、と説く。氏もさすがにすぐに実現するとは考えていないようで歴史的背景や問題提起にとどまっている。各章のまとめと巻末の「ベーシック・インカムに関するQ&A」は特にわかりやすくてよかった。
35 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
広く浅く、ベーシック・インカムという考え方を横断する試み,
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レビュー対象商品: ベーシック・インカム入門 (光文社新書) (新書)
ベーシック・インカムという考えは、奇異なものではない。それは新自由主義の権化フリードマンからポストモダン左翼の旗手ネグリにまで見られる幅広い思想であり、その起源をたどれば、千年以上昔の日本や中国の律令国家にまでさかのぼりうる、普遍的な考え方なのである。シングルマザーや障害者の社会運動、フェミニズムや緑の党にも怠りなく目配せしながら、筆者が強調するのは、こうしたベーシック・インカム概念に含まれている共通基盤についてであるといえる。しかし、一方でベーシック・インカムという考えは、従来の福祉国家のあり方からの断絶、人々の認識におけるパラダイムチェンジを要求するものでもある。「ベーシック・インカムはすべての人に、個人単位で、稼働能力調査や資力調査を行わずに無条件で給付される」(p.242)とするならば、これまで私たちが抱いてきた「労働観」を抜本的に変革しない限り、それが社会に根づくことはないように思える代物なのである。単なる福祉国家の補完政策ではないベーシック・インカムのこうした側面、筆者はこの部分に深い思い入れを抱いているようだが、それについての掘り下げは、本書において不十分にしか行われていないと感じた。 たぶん、色々な素材を詰め込みすぎたことと筆者自身の立ち位置の不明確さが、この本の内容をわかりにくくしているのだと思う(だから、章ごとの「まとめ」やQ&Aがついているわけだ)。しかしこの点を差し引いても、ベーシック・インカムに関する最初の一冊としては、この本はおおいに読む価値があると感じた。というのも、ベーシック・インカムとはいまだ形成途上の政策構想だからであり、今の時点での実現可能性よりも、社会的合意への模索が必要なものだからである。
28 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
労働観が変わりそう,
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レビュー対象商品: ベーシック・インカム入門 (光文社新書) (新書)
賃金労働に関する考え方が変わりそう。「金持ち父さん」を読んだときは使われる側と使う側の本質的な違いを見せ付けられたが、この本でも似通った感想を持った。 そう、賃金労働って、奴隷制度の一種なんじゃないのか? そんな、広く深い視野から「ベーシック・インカム」について書かれている。 が、「誰がどの書物でどういうことを言っている」とか「いつどこでどういう団体がどういう主張をしている」というような歴史的事実の羅列的な記載が多く、正直この辺はちょっと退屈だった。 なぜ「ベーシック・インカム」が重要なのか、必要なのか、について著者自身の血の通った言葉で語って欲しかった。 実現性の試算についても書いて欲しかったな。 たとえば国民一人に月15万円配るとして、年間で200兆円必要になる。 となると、今の国家予算は一般会計で約80兆円、特別会計も含めて約200兆円として、実現性はかなり低い。とうぜん税金を大幅に上げるなりの対応が必要となるのだろうが、革命的な社会改革が必要になるのは確かだろう。 というあたりの話をもっと噛み砕いて説明して欲しかった。
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