まずはナイス過ぎる口絵&挿絵に御礼申し上げなくてはならない。気のせいか著莪の絵が多いのもファンサービス?内容的にも長さ的にも半分強を占める、サイドストーリーな書き下ろしが巧みに構成された短編集である。
【書き下ろし】 第1章、第2章、第8章
本巻の主軸を成す、丸富大学付属高校文化祭での一コマ。スーパーでも半額弁当でもない代わりに高校方面のキャラを程良く勢揃いさせつつ弁当争奪戦を盛り込むが、ここで全く別方面から最強のライバルを出してくる演出がニクい。しかも、かつての恩讐を乗り越えて手を携える場面まで用意している。そして炸裂するあせびちゃんの不幸爆弾に爆笑必至となろう。第2章は、さしずめ著莪の勇者“ドリーム”伝説といったところか。短編集ならではの展開に見事過ぎるオチが効いているが、さすがに話が長過ぎでもあろう。「ハマれば超絶に面白いが総じてクセのある文体」や「改行を抑えてびっしり頁を埋める筆致」といった作者の特色が少々裏目に出た感もある。第8章まで引っ張っての2段オチ的な纏め方は素晴らしい。
【短編】 第3章〜第5章、第7章
公式サイトの特集で掲載された小品群。まさに短編集的なスピンオフではあるが、ショートショートゆえに、スピンもオフもし切れていない印象もある。それでも白粉“先生”や名も無き≪狼≫達の心の奥底に仕舞われた心情が吐露された興味深さがある。自分の誕生日を知って貰いたい佐藤の姑息さには共感の苦笑を禁じ得ない。
【レア作品】 第6章、そして『筋肉刑事』
佐藤と著莪の「この2人の距離感って何?」という話がサイン会参加者への特典だったなんて反則。ようやくご相伴に預かれた形である。『筋肉刑事』は、もう少し突っ込んだところまで踏み込んでも良かったのでは?この「突っ込む」の意味は多岐に渡るが。