ドイツのシュトゥットガルトに長年暮らす文筆家の著者がベルリンの歴史について著わした書です。綴られるのは18世紀後半のドイツ帝国成立から20世紀末の東西ドイツ再統一までの200年余り。著者は歴史学を専門とする研究者ではありませんが、新書というコンパクトな書物の形で描ける範囲で、ベルリンという都市がこれまで刻んできた激動の歴史を大変分かりやすく教えてくれます。
巻末にある平凡社新書既刊書の案内には、「ソウル都市物語」や「オーストラリア物語」などの書名が並んでいますので、本書「ベルリン物語」もそうした刊行ラインアップのひとつとして編まれたものだと想像します。
高校生くらいの読者がベルリンを中心としたドイツ近現代史を概観するにはとても手ごろな一冊ではないでしょうか。
ヒットラー暗殺未遂を描いた映画『ヴァルキューレ』がトム・クルーズ主演で製作されて近年話題になりましたが、本書第5章では30頁弱を割いて暗殺計画の中心的人物だったシュタウフェンベルク大佐を紹介しています。私はこの章を大変興味深く読みました。
また旅行者として1985年にベルリンの壁を越えて東西を往来した経験のある私にとって、ベルリンの壁建設からその崩壊までの28年間を綴った第7〜9章も、あの狂気の時代をあらためて振り返る上で大変参考になりました。
*プロイセン王ヴィルヘルムが戴冠した1861年の選挙で「保守派が惨敗し、たったの一四票しか獲得できなかった。」(34頁)とありますが、「一四議席」の誤りではないでしょうか。一四票ではおそらく一議席も獲得できないと思います。