同じような謀略エスピオナージュ小説であるブライアン・フリーマントル(74歳)のチャーリー・マフィン(所属MI5)シリーズが
非常に複雑なプロットで、最後の最後まで、いったい誰が誰の為に謀略を仕掛けようとしているのか、
分からない仕組みになっているのに比して、このバー・ゾウハー(72歳)の作品は謀略の構図が非常に
分かり易く明快で、サァ〜と読み進めて、あっという間におしまいと言う感じ。
やはり巨匠と呼ばれるだけの事はあり、標準点以上の手堅い作品=それなりに面白い作品とは
なっているのだが、山谷の少ない=凄い盛り上がり=手に汗握るサスペンスには欠ける作品、
という印象は拭えない。
ギデオンがロンドンに飛んだだけで、謎はドンドン解明されて行き、<ロンドンで寝たはずが、ベルリンで目覚める>
この辺りのトリックも<やっぱりね。それしかないわな>という感じで、銀行職員のギデオンへの反応の件(くだり)
を読んだだけで、”感”の良い人は事情が理解できるはず。
ニッキーの年齢を計算すると(ルドルフが82歳ゆえ)80歳を優に超えていると思うのだが、いまだに、こんなに組織に
深く関与している、なんて?? ありか?少し無理があるのでは...
”黒幕”に関しても、意外性は少ない。というか、最初の方で、この物語の最大の懸案事項については早々と
開示されており、この黒幕の関与は当然、となる。
陰謀には実は代替があり、これによって懸案事項は解決に向う事となるのだが、最大の功労者は結局
イスラエルと言う事か...
海外での評価を知りたいところなのだが、本書は米国・英国で発売されていないようなのだが、どうなんだろうか?
イスラエルでのみ発売?
この辺、著者後書きにも、解説にもないんだが...