ガッツさん!といつしか呼ぶようになってしまったこの人は
口で言わないとわからない人なんですかね、こんなに繊細で聡明なのに
人間関係になると・・・しかもこと「自分が」関係者の一翼になると
さっぱり不明瞭、曖昧模糊。
鷹の団を離れたときも、ガッツなりの意味も理由もあったわけで
それはよーくわかるんだけど(わからせるように描写してしまう
三浦先生がニクいです)、もしかしてそれ勘違いじゃないのと
不安だったりもしたのですよ。
グリフィスがどんな気持ちで「自分にとっての友とは」を
姫様に語っていたのか。
彼だってさんざん苦労してがんばってきたわけで、最初から
完璧だったわけじゃあないでしょう。
たとえ生まれたときから覇王たるべく宿命づけられていたとしても。
ガッツは優しい、洞察力もある、頭もいい、それなのに自分のことと
なるとサッパリなのはどうしたことか。
2年もさんざん苦労してあちこちさすらったあげくに仁王立ちで
「喪失(うしな)えねえ!」ですから、いいから寝ときなさい、
せっかく安全な場所なんだから!と思いました。
しかし夜は襲撃、昼は移動と修行となるとくたくたですよね。
エルフの洞窟で2年ぶりの静寂を与えられてやっとものを考えるゆとりが
生まれたということなのでしょうか。
不憫です。過酷すぎて泣けてくる。
ファルネーゼのめちゃくちゃぶりや、それゆえに巨大な改心のきっかけが
丁寧に描写され、この後の彼女の変貌がとても素直に納得できます。
不自然な鎖に縛られて身動きとれずにいたけれど、実は自分が自分を
縛っていたとみつけるチャンスを彼女は得た。
人の心を動かす、変える、それは本当にすごいことです。
自らも血まみれになりながらひたむきに前に進むガッツを見て
生き方そのものがひっくり返る。
何が大切なことなのか、何と戦い、何を守るべきなのか。
ガッツの苦闘を傍で見ている私たち読者ももしかしたら
彼の熱と輝きに変えられてしまっているのかもしれません。
「致命的な亀裂の入った折れかけの剣」そう評されたガッツですが、
しかし剣は再度の火入れと鍛えにより何度でもよみがえる。
親方が死を賭して鍛えてくれた剣を手にガッツの旅は続いていく。
冒頭のパックとのやりとりがいいですね、困ったときのエルフ頼み。
パック本当にいい奴だ。
パックとのやりとりを通じて、ガッツはもう一度生き直しているんだなあと
毎度ながら思います。
エルフのくせに(笑)このまっとうさ、健全さは奇跡的。
クリパックを生み出した、ということひとつ取ってみても
三浦先生の偉大さは永遠に不滅でありましょう。
しかし面白い。面白すぎて困ります。困ったときはクリパック!
ということでもう一度1巻から読み返します。