最も参考になったカスタマーレビュー
21 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
大した映画じゃないはずなのに、心には届く。, 2010/1/13
レビュー対象商品: ベルサイユの子 [DVD] (DVD)
ストーリー解説を読むと、ありがちで面白みのない映画みたいに思う。僕も、レンタル店でキャンペーン中で、3本借りるよりも5本借りた方が安いという不思議な状況で、穴埋めに借りてみた、聞いたことも無い作品だった。 でも、「スラムドッグ・ミリオネア」を含む話題の映画3本よりも、この映画の方が僕には心に残った。子供のエンゾは本当にけなげで無力で無垢だ。可愛らしい、なんていう言葉では適切じゃない。子供というものの無垢な姿が、そこに凝縮されている。そして、ほとんどしゃべらないのに、たまに話す言葉がグッとくるんだ。 そしてまた、森を出て助けを求めに急ぐエンゾの姿が、たまらない。その醜く汚れた外見がまた、たまらない。また、あるシーンで、彼が呟く「森がいい」という短いセリフは、シナリオとしても完璧な瞬間だと思う。その一言に、観ているこちらが、キュンと切なくなる。きっと世界中の人が感じる、この子を守ってやらなければという気持ちが、呼び起こされる。すごいシナリオだと思う。わざとらしくなくて、作り物めいていない、本当の言葉だ。そう、子供はそんな言葉を口にするんだ。だから、守ってやらなければならないんだ。そう感じる。 物語の中で、失業者が200万人と出てくる。今の日本の状況を考えれば、他人事とも思えない。大学を出た若い人たちに、働く場所がない。見つけても、劣悪な職場ばかりで、続かない。これは、遠い国の出来事ではない。 この映画には、スペクタクルは無い。劇的な高まりも無い。感動的なものすごいラストも無い。 でも、嘘の無い映画で、原作が持っていたいくらかの真実の3分の1も表現できなかった「スラムドッグ」よりも、ずっと心に響いた。 道徳を説いている映画じゃないけれど、僕はこれを、とても良心的な映画だと感じた。
7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
社会から逃げていた大人。取り残された幼き子供。彼らに眠れる強き魂。責任感、愛、絆、信頼、そして社会の厳しさを描き出す, 2010/4/9
レビュー対象商品: ベルサイユの子 [DVD] (DVD)
幼い子供を持った一人の女性。若さがゆえに子供を育てる意志が弱い。意志が弱いという表現を頭に浮かべながら、子供への接し方がわからないと言った方が適切だとも感じる。そんな若き女性が森で男性に出会う。服役経験のある、無職の男性。二人に共通することは無職であり、働くことへ抵抗があるということ。そんな男性のもとに子供を置き去りにするところから物語は起伏を見せる。 置き去りにされた子供と働いたことがない元服役囚。二人の間に付かず離れずのささやかな絆が生まれる。そしてその子供から生きるということへ真剣になることを学ぶ元服役囚。自堕落に世の中から逃げて生きてきた彼が社会と向き合う姿は、生きることの難しさや辛さを描き出す。そして血の繋がっていない子供を育てる意志を固めた男性の表情には、確固たる決心と責任感が表れる。また愛されることを知らない子供が強く生きていく様子も映画の語るところであり、純真な瞳に強い意志を秘めたその子供の生きる姿、足を一歩一歩踏み締めていくそれだけの姿が愛おしく、また力強い。 働くということ、生きるということ、愛、絆、信頼、そして社会の厳しさ描いたこの作品は、今を生きる人々、困難に立ち向かう人々に勇気を与える作品だと思う。
7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
本当の幸せとは何か。, 2010/3/2
レビュー対象商品: ベルサイユの子 [DVD] (DVD)
やや脚本のツメは甘いかもしれないが、本当の幸せとは何かを考えさせられる。忘れた頃に、また観たいと思う、普遍的な映画。 人間ドラマゆえ中盤は若干眠かったが、終盤にさしかかる頃にエンゾが「あの小屋に帰りたい」と漏らすところは、泣きはしないが目頭が熱くなった。要所要所で登場するごくごく短い台詞に、映画のエッセンスが見事なまでに凝縮されている。 職がなくいわば「ホームレス」とも言える劣悪な環境下に生きながらも、確かにそこで愛情が育まれ、友情は分かちがたい絆となる。「ホームレス生活も捨てたもんじゃないぜ、」と、世捨て人になれと推薦している映画ではない。しかし、失業者あふれ人生の明暗分かれるこのご時勢に、普通の暮らしに安住している人への素朴な問いを発している。 「あなたはそれで幸せですか?」 当たり前のようにきれいなマイホームを持ち、マイカーで通学し、なに不自由なく暮らす。そんな毎日の中に、本当の幸せ・本当に望むものを見出すのは困難なのかもしれない。 エンゾ役のマックス君が、あの真っ黒い大きな瞳の奥に闇と光の両方をたたえ、我々に問いかけてくる。 う〜む、うならせてくれる!!名演子役だ。その瞳は幸せを知っている。 どことなく神秘的な雰囲気の漂う、きれいな映画。
|