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で、肝心の作品ですが、今読むと(小学生のときにもいくらか思いましたが)いろいろ
アラや雑なところが目立ちます。絵のうまさや完成度という点では、当然のことながら
「オルフェウスの窓」に劣ります。ストーリー展開も実は結構強引なところがあります
し、登場人物のキャラクターの掘り下げも今ひとつ浅く、単純にさえ思えます。
ただ、この作品は、これらの欠点をもちながらも間違いなく読む人を魅了する力をもった
作品です。粗い点はこの作品において欠点とはなっていないようです。ストーリーがよい
のか、構図や設定がよいのか、少なくとも言えることは池田理代子氏のエネルギーや気迫、
勢いといったものが、一番強烈に感じらる作品だということでしょうか。
池田理代子氏の主著は、完成度や分量という点から言っても「オルフェウスの窓」だと
思いますが、一番影響を与えているもの、最も人を惹きつける魅力をもったもの、今後
も間違いなく残ると思われるものはこの作品でしょう。
ベルばらの絵柄は、今の子供たちが言うような「むかしの少女漫画」そのものだが、その迫力がものすごいのある。リリカルなモノローグ、強い瞳が訴える情熱、そのすべてに圧倒されずにはいられない。そして何より、ルイ16世とマリー・アントワネットの時代・・・フランス革命の時代を、作者は緻密に描ききっている。ただの悪役になりかねないマリー・アントワネットを愛欲を持った一人間として描く事で、物語の深みを増している。そして貴族の地位を捨てフランスの新しい時代のために戦い、死んでいったオスカル・・・。この時代が、そして人々が命をかけて手に入れようとしたものは、現代へも何かを訴えるインパクトを持って私たちに迫ってくる。
何より、この物語全体に渦巻く深い愛情に感動した。
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