ベルギーと言えば、ワッフルやビールといった食べ物でしか関心がなかったわけですが、国名は知っているのに、その国のことをあまり知らないといった中の一つでした。
たまたま昔からベルギーフランドルに関係する建物に出入りし、そこの団体や人々と交わることがありましたので、個人的にはずっと関心を抱いていた国やエリアです。特にフランドル地方といえば、美術史的にも音楽史的にも華やかな時代を築いたわけで、その国の文化や言語、宗教や歴史を体系的に知りたいと思い、本書と出会いました。
その歴史経過も詳しく触れられていますが、中世以降ラテンとゲルマンの文化や支配体制が交互に影響しあい、言語においても複雑な状況を生み出しています。国土の北半分はオランダ語地域で、南半分はフランス語です。EUの首都はブリュッセルにあるわけで、ヨーロッパの中心にあたるとも考えられます。ブリュッセルはオランダ語とフランス語の併記がなされています。本書でもその歴史について詳細に記されていますが、まさしくヨーロッパ史そのものの展開に翻弄されていたエリアでした。
またベルギー美術というと知られていないようですが、190ページにも書かれているように、アンソール、ポール・デルボー、ルーベンス、ブリューゲル、マグリットと、幅広い年代にわたって偉大な画家を輩出している地域ですから、馴染みがあります。
著者の小川秀樹氏は国際社会論・国際貢献論の研究者で、岡山大学教授であり国際経済法学博士を持っている方です。