本書は「
ベクトル解析」(日本評論社 1989刊)を文庫化したものです。本評者は大学時代に旧著を"むさぼる"ようにして読みました。ベクトル解析の式の導出及びそのイメージを理解するのに役立ちました。
本書は電磁気学・流体力学のための「"道具"としてのベクトル解析」の本ではありません。「1次元の線型代数学 → 多次元線型代数学」「1変数微積分 → 多変数関数微積分」という拡張の仕方を懇切に説明した本です。("微分形式"にも簡潔に言及あり) 大学教養生の視線まで下りてきて「こう考えるのが自然なのである」という雰囲気で先生が語りかけているかのようで"親近感"が湧いてきます。(当時の数学の教科書は"獅子の子落とし"のように
敷居の高い本が大半だったので、本書は正に"救いの神"でした) 豊富な図・具体例と丁寧な説明を読み進めるうちに、電磁気学・流体力学の式(微分形・積分形)の意味を心底理解できるようになりました。(rot・div、座標変換、部分積分の多次元版...等をイメージ出来るようになります)
本書と共に「
現代の古典解析―微積分基礎課程」を読んで理解できるようになると「物理数学」にすんなり入ることが出来ることでしょう。Good luck! (^-^)v
【目次】
第0章 ベクトル解析とは
第1章 多変数の微分 (正比例関数と微分、多変数の一次関数、多変数関数の微分、多変数の微分計算、陰関数、勾配ベクトル場、変数変換、2階微分、微分作用素の計算、関数関係、多様体、多様体上の関数)
第2章 多変数の積分 (積分の概念、測度、微分と積分(1変数の場合)、多変数の積分、体積要素、線積分、面積分、回転、発散、微分と積分(多変数の場合))
第3章 なぜベクトル解析なのか―多次元世界の微積分(*)
(*)は文庫化に際し「数学セミナー」(1976年1月号)の記事を収録。