ヒトと昆虫とは、共存できるものなのでしょうか。双方にとって何が“善”であり“悪”であるのか。この確固としたテーマとその追求が、やはりこの漫画の読みどころです。
特殊な例だとしても、環境によっては人を襲うゴキブリも存在しうるのです。人の側に悪意がなくとも、昆虫は時として人に害となることもあります。昆虫の側からすれば、ただ生きていくという生命としての至上目的の故だとしても。
体長80mmの肉食コオロギなどという怪物的な外来種が現れた時、周辺の生態系は破壊されてしまうでしょう。その原因が人の放虫という善意だとしても。
これまでも師匠は、単なる害虫の駆逐ではなく、その生態をよく知ることによる共存の道を模索してきました。その過程で自分の無力さに打ちひしがれることも幾度となくありました。そして今回、師匠は自ら昆虫を”殺す”決断をします。いくら昆虫を愛していても、彼女は最終的には人間なのです。ヒトの側に立たなければならないのです。環境を、生態系を守るために。ヒトの“善意”が引き起こしたであろう“悪行”から人を守るために。あまりにも厳しい決断です。虫にとっても、そして彼らを愛する師匠にとっても。
「誰かが…誰かが“けじめ”をつけなければいけないんだ…」