ベクター・ケースファイル10巻。本作はこの巻でもって一応の完結です。
順調に連載が進んでいるように見えても、いきなり切ってしまうのが秋田書店。本当に油断がなりません。
これまで、師匠は人と虫について多くのことを教えてくれました。多くの人たちとの出会いがありました。悩むこともありました。泣くこともありました。しかし、師匠の問題提起は続きました。人は、昆虫はどのように共に生きていくべきか。そのことを師匠は読者を含め多くの人に訴えかけてきました。
そして気付いた時、師匠はもう孤独ではありませんでした。彼女を囲む多くの友がそこにはいました。変わったのは周りだけではない、師匠自身も変わっていたのです。今の師匠には彼女の存在を認めてくれる場所が、友達がいるのです。そしてそのことで何より師匠自身もまた成長していたのです。
師匠が自分の居場所、自分の仲間の存在の大切さを改めて確認するところで、本作は幕を閉じます。過去の伏線が回収されていないなどと指摘するのは野暮です。それよりも師匠たちの前には大きく広がる未来があります。その未来がどのようなものになるにしても、もはや師匠はくじけることはないでしょう。今や彼女には支えてくれる友達が、帰るべき場所があるのです。それを発見できたことを読者として我々は祝福するべきでありましょう。
ベクター・ケースファイル、大団円です。これまで読んできた読者として、言うべきことは一言です。
師匠、ありがとう。