「ベイツ教授の受難」と題されたデイヴィッド・ロッジの、「考える・・・」以来の待望の翻訳です。おそらく本邦初の研究書「デイヴィッド・ロッジの小説世界」で「判決は難聴」といったような訳が当てられていたタイトルですが、本書の「訳者あとがき」にあるように韻を用いたタイトルにはそれぞれの国が手こずっているようで、なかなか難しいところではあります。ただし、ロッジの新作に「ベイツ教授の」と付けば、キャンパス・ノベルであることが容易に察しがつくことを考えると、「訳者あとがき」にこのあたりの事情は詳述されていますので、原題にほとんど由来しないこの題名が案外ベストではないかと思います。内容については、これは読む方の楽しみを削いでしまいかねませんので、ここには全く記しませんが、正確を期すれば本作は「キャンパス・ノベル」というよりも、ロッジ自身がそう呼んでいる通り、「リタイアメント・キャンパス・ノベル」といったほうがより的確であると思います。ロッジのほかの著作のレビューでも書きましたが、若い女性からの絶えざるアプローチや、そこはなとない厭世癖、かと思えば実はどこかいつも弱腰であったりといったところが、さすますウディ・アレンと重なって見えて仕方ありませんでした。