ベイズ統計は、伝統的・古典的数理統計学(“頻度主義統計学”) の仮定する客観的な確率分布が測定しえない社会事象に対し、“主観確率”を用いて不確実性を漸次的に推計する、古典的統計学とは根本的に別流をなす統計論である。現状、情報工学科での工業数学の講義ですら、ベイズ統計は殆ど扱われない。
本書は、情報技術者を対象としている。投資利益率曲線などのマーケティングの知識と、ノード・グラフなどの基本的な情報処理技術の概念が必要である。
■構成
第[1]章 「ベイズな予測」で何がわかる?
1 ベイズの定理とは?
2 ベイズの定理の適用範囲
メールの自動分類/携帯電話「乗換え」の理由分析/犯罪捜査/原子力潜水艦の捜索/音声認識、感情認識/画像認識
3 「ベイズの定理」を応用すると
異性の行動分析/株売買/教育/購買、販売戦略
第[2]章 予測の仕組みを知ろう!
第[3]章 ベイズの定理実践編
Excel/Viosoの利用
■評価
・良い点
ビジネスでの実用例が、類書に比べて圧倒的に豊富。
・良くない点
理論の説明が後半1/4しか割かれておらず、全く不足。
確率密度関数の数式表現を避け、ベタ文で書かれていることが、理解の致命的な妨げになっている。
統計学は実学なので幅広く利用されてこそ真価が発揮されるが、最後は数学論になる。“「ベイズな予測」で未来を拓け”などのオンライン記事で、本書は知られているが、ビジネス教養ではなく実用が目的なら、本書では全く不十分である。評者は数学が専門ではないが、評者なりの文献案内を付す。
『
道具としてのベイズ統計』:難易度★★☆☆☆
→途中の計算式も省くことなく、ベイズ統計学の基礎をわかりやすく解説した、最も易しい入門書
『
入門ベイズ統計―意思決定の理論と発展』:難易度★★★☆☆
→理系学部1・2年生向けの数学入門。練習問題や「行列演算に親しむ」などの解説が豊富。
『
ベイズ統計学入門』:難易度★★★★☆
→「研究ノート」が豊富だが、確率統計学の基本用語についての理解が必須。工学部生向け。