封切時、最初の数分間でヘンリーの犠牲者達を数秒ずつ延々と映すシーンを観てつまらないと思いましたが、その後の展開で見事なまでに予想が裏切られました。
その年観た映画の中でもっとも心胆寒からしめる作品でした。
特にラストシーンは衝撃的であると同時に圧倒的に正しい気がしました(もちろん映画内での話です)。
マイケル・ルーカーの凄味の利いた演技はまさに一世一代の物で、「ターティー・ハリー」の凶悪犯さそり役のアンディ・ロビンソン以上にルーカーのイメージを決定してしまいましたが、これだけの素晴らしい演技をフィルム上に残せたのですから俳優冥利に尽きると思います。
今回改めて見直すと小さな役で出てくる俳優が皆実に良く、また同じ悪党でもトム・トウルス扮するヘンリーの相棒オーティスが余りにも品性下劣な為、ヘンリーがヒーローの様に見えてしまう一人ストックホルム症候群に陥りました。
気が良いのに不幸の下に生まれたとしか言いようの無いベッキーもとても哀れで涙無しでは見ていられません。
特典映像の制作ドキュメンタリーでは主なCAST、スタッフが誇らしげに本映画に関する思いを述べており、必見です。
ルーカーの奥さんが本作撮影中に妊娠中だったというエピソードは大層気の毒な事だと思いました。
VHS時代にお茶の間で家族全員で観た所、借りてきた私に非難が集中したショッキングな内容ですので、決して万人向けの娯楽作ではありません。それでも恐怖の核心に触れた傑作だと思います。