ヘンリーシリーズも4作目となった。
このシリーズを通して、ヘンリー・デイビット・ソローという実在した人物を
知り、いつか彼の著作であり、この絵本のもととなった『ウォールデン:森の生活』
を読んでみたいと思っている。
と同時に、こんな絵本があるなら『森の生活』を読む必要もないな、
などと、思わせてしまう魅力的なシリーズでもある。
巻末の解説によると、彼はハーバード大学を卒業しながらも、あえて
森での自給自足に近い生活を選び、そんな暮らしから得た自然のすばらしさを
本にして人々に伝えようとしたそうである。
環境問題が取り沙汰されている現在から溯る事150年以上も前のことです。
大学の卒業者さえわずかといった時代ですから、いかに先進的な発想だったか
が伺い知れます。
本作では、そんな彼の一日が描かれています。
これから仕事に出かけると言いながら、家を出たヘンリーは森や街をぐるりと
散歩し自宅へもどってしまう。その理由は最後で明らかに。
絵本作家のジョンソン自身がヘンリーの思想に共鳴し生まれた作品であり、
訳者の今泉さん自身も山林に小屋を建てて自然の研究をされているとの
ことで、読者の側としては心強いかぎりだ。
絵本のなかで、ヘンリーを人ではなくて、クマにしたところは重要。
単なる動物のキャラクターとしては見て欲しくないですネ。
また、キュービズム調の幾何学的なタッチで自然を描写していることも。
人と動物、都会と自然を巧みに橋渡しした絵からも、当時の先進性を
感じ取れるのではないでしょうか。