出てくる人たちは変人だが、この人たちに「もう一度会いに行こう」と思う著者も相当な変人だ。
著者は、90年代にインタビューした変人たちがどうしているのか、訪ね歩く旅に出て、実際に見つけた人たちに再び密着取材を試みる。
出てくるのは極めて人間的な人たちで、狂信的なのかと思えば意外とそれを自覚している人もいる。著者を気に入ったユダヤ人差別主義者に、著者が「僕がユダヤ人だったらどうする?」と問いかけると「違うと言ってくれ」と苦悶したりもする。取材の域を超えて著者とのつながりを求める人、逆にどれだけ歩み寄っても逃げて行く人。さまざまな人とのヘンテコな密着取材が、面白おかしく記されている。
UFO信者や元ポルノ俳優、集団自殺カルト宗教の生き残り、ラッパー、どれも面白く読ませてもらったが、最後のネオナチ主婦に育てられている美人双子シンガーの話だけは考えさせられた。ヘンテコな人は、本人や周りに(自発的に)集まる人がヘンテコであるから笑えるのだが、ヘンテコ(では済まされないレベル)の人に育てられる子どもは一体どうなるのか。ゆるいドキュメンタリーの最後の最後に、ガツンと問題提起された感じだ。
翻訳も非常に読みやすかった。これだけ普通でない会話を、今風の日本語にするのは至難の業だろう。翻訳書を読んでる気がしなかった。ちなみに解説は、なんと村上春樹。