介護福祉士の方からこのマンガのことを聞き、
読み始めると、1巻から9巻まで一気に読んでしまいました。
取材が徹底しているので、とても実際的な内容になっています。
たとえば認知症の高齢者が徘徊して脱糞して自ら便まみれになったり、
家族と他人の区別がつかなくなり、すっかり別人のようになってしまう高齢者など、
実際に、周囲でいらっしゃるので、そうした高齢者の介護などにおける、
家族の想像を絶する、気が狂うほどの疲労まで、リアルに描かれています。
そんな、今にも壊れてしまいそうに限界にある方々を助けるのが、
ヘルプマンの仕事。
しかしながら、介護福祉士や、ヘルパーさんたちが仕事をする、
施設や訪問介護の現場では、常に人手不足で、そこにもあえぎがあります。
また、行政による介護保険のシステムの中で、介護される側とヘルプマンの側との
スケジュールの調整に追われるケアマネージャーの苦闘は、まさに現場の叫びでした。
経済的、人材的、時間的に、あらゆることの調整が必要なのですが、
その仕事量のために、じっくりと介護のプランを立てることの難しさや、
介護保険が足かせになって、必要な時に、必要なだけの介護がスムースに受けられない
高齢者が多い現実に、これからさらに増える介護の問題について、考えさせられることになります。
フィリピンなど、他国の事情についても触れられていました。
そんな大変な介護の現場ですが、それでも、相手にしているのは、
これまで家族を支えてくれた、国の発展に貢献してくれた、生きている人間なんです。
記憶は薄らいでいても、感情は敏感になっているケースが多いようです。
年老い、介護される側になった高齢者たちに、愛情と敬意をもって接するとき、
そこに思わぬ感動が、しばしば生まれるといいます。
離職率の高い、介護の仕事の現場から離れられない人が言うには、
高齢者と接していて、満たされる瞬間が必ずあるそうです。
誰もが、自身の親を介護することになる可能性があり、
誰もが、いつか年老いて、介護される側になる可能性があります。
現在すでに、介護をしている方も無数におられます。
そのように、誰もがしっかりと認識しておきたい、
そんなことが、いっぱい詰まったマンガでした。
単行本の帯に、家庭科の教科書に採用されました、
と記してあるのを見て、うれしくなりました。
優しさ世代でもある、今の若い人たちにこそ、
読んでほしいなと、そう思いました。