りりこをスカウトして、美しく変貌させたモデル事務所の社長。ひどい仕打ちをされても、りりこから離れられないマネージャーとその恋人。生まれながらに美しいがゆえに、美に執着しない15歳の新人モデル。最後まで、りりこを美しく仕上げることに全力を注ぐメーク担当者。ある事件を追いかけるうちにりりこに出会い、シンパシーを感じ始める検事。りりこをとりまく人々も絶妙に配置され、この物語を重層的で刺激的なものにしている。
醜かった主人公が美しく生まれ変わり、成功をおさめる。たくさんの物語で描かれてきた、わかりやすくてドラマチックなその過程は、本書ではほんの少し触れられているにすぎない。はじめからりりこは美しく成功の真っ只中にいて、彼女の向う先は破滅でしかないという不穏な空気が、物語の最初から濃厚に漂う。その破滅の過程を、著者は、息苦しくなるほど丹念に描いていく。最終章で描かれる、りりこの決着のつけ方は壮絶であるが、そこに含まれる不思議な「明るさ」のようなものが、読者の心をとらえて放さない。(門倉紫麻)
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49 人中、44人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
やっぱりすごい!,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
漫画にしては値段が高いけど、その価値は十分あった。普通の整形ストーリーはブスな子が整形をして美人になる過程が描かれるが、ここでは主人公はすでに美しく、人気の絶頂にある。(ブスだった頃の顔が一コマも出てこないのには感心した)確かに、美人になってめでたしめでたし、というおとぎ話には私たちは何の説得力も感じない。そこからどう生きるか、により関心がある。 主人公のりりこは美しくなるために体に極限まで負担をかけているため、精神と肉体がゆっくりと、しまいには加速をつけて崩壊していく。しかし、私は他の人が言うように、彼女は精神的に空っぽの存在ではないと思う。りりこは恐ろしいほどに本当のことがわかっている。自分の栄華が長続きしないこと、自分を欲する大衆が飽きっぽいことなどを十分に認識している。その恐怖に対して死に物狂いで挑む様に私は惹きつけられた。 敵役の検事が評するように、りりこほどタフな女はいないだろう。彼女の生き方は鮮やかな花火のようだ。そして、自分の欲望に忠実で、しかし本当に欲しいものは得られない悲惨な存在でもある。彼女は自分が孤独な存在であることもよくわきまえてそれで弱さも見せるが、絶対に屈服しない。「びしょぬれの同情なんかいらないだとしたら無視されるか笑いものになった方がまし」という言葉はほんとうにすごい。
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
何が人生の成功なんだか,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
この漫画はさみしい。岡崎さんの書いた帯「いつも。たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ちかた。」 まさにそれだったから。 「あたしには好きな人も愛してくれる人もいやしない…」 世間の注目を不動のものにすべく美しさに執着し、あらゆる手段をいとわない。 人を痛めつけて世間にささやかに復習する。何にもならないと悟りながら。 最後のりりこの去り方はすごい。いつまでも消えない方法で。
18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
女と美,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
たとえばこの漫画の男版なんて、絶対にあり得ないだろうと思う。女の漫画=「恋愛」だと思ってる人は、一度読んでみることをオススメします。 この漫画には愛などどこにも存在しないのです。 欲望と破滅と、僅かな希望だけ。 「ザ・セル」(J・ロペス主演の映画)の1シーンを思わせるカットも見事。いい映画を観終えた後のような興奮が味わえます。
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