りりこをスカウトして、美しく変貌させたモデル事務所の社長。ひどい仕打ちをされても、りりこから離れられないマネージャーとその恋人。生まれながらに美しいがゆえに、美に執着しない15歳の新人モデル。最後まで、りりこを美しく仕上げることに全力を注ぐメーク担当者。ある事件を追いかけるうちにりりこに出会い、シンパシーを感じ始める検事。りりこをとりまく人々も絶妙に配置され、この物語を重層的で刺激的なものにしている。
醜かった主人公が美しく生まれ変わり、成功をおさめる。たくさんの物語で描かれてきた、わかりやすくてドラマチックなその過程は、本書ではほんの少し触れられているにすぎない。はじめからりりこは美しく成功の真っ只中にいて、彼女の向う先は破滅でしかないという不穏な空気が、物語の最初から濃厚に漂う。その破滅の過程を、著者は、息苦しくなるほど丹念に描いていく。最終章で描かれる、りりこの決着のつけ方は壮絶であるが、そこに含まれる不思議な「明るさ」のようなものが、読者の心をとらえて放さない。(門倉紫麻)
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46 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
やっぱりすごい!,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
漫画にしては値段が高いけど、その価値は十分あった。普通の整形ストーリーはブスな子が整形をして美人になる過程が描かれるが、ここでは主人公はすでに美しく、人気の絶頂にある。(ブスだった頃の顔が一コマも出てこないのには感心した)確かに、美人になってめでたしめでたし、というおとぎ話には私たちは何の説得力も感じない。そこからどう生きるか、により関心がある。 主人公のりりこは美しくなるために体に極限まで負担をかけているため、精神と肉体がゆっくりと、しまいには加速をつけて崩壊していく。しかし、私は他の人が言うように、彼女は精神的に空っぽの存在ではないと思う。りりこは恐ろしいほどに本当のことがわかっている。自分の栄華が長続きしないこと、自分を欲する大衆が飽きっぽいことなどを十分に認識している。その恐怖に対して死に物狂いで挑む様に私は惹きつけられた。 敵役の検事が評するように、りりこほどタフな女はいないだろう。彼女の生き方は鮮やかな花火のようだ。そして、自分の欲望に忠実で、しかし本当に欲しいものは得られない悲惨な存在でもある。彼女は自分が孤独な存在であることもよくわきまえてそれで弱さも見せるが、絶対に屈服しない。「びしょぬれの同情なんかいらないだとしたら無視されるか笑いものになった方がまし」という言葉はほんとうにすごい。
15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ラストが印象的,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
かなりディープな話。
昔はこういうディープな話が好きでしたが 正直しんどくなってきて人にあげてしまいました。 でも最近久しぶりによみたくなってきました。 あんまりディープな漫画を読みたくない人にはおすすめしませんが、 傑作であることはたしか。 主人公のりりこが圧倒的。 まぁりりこの魅力は他のレビューにたくさん書かれているので あえてあまり人がふれない部分を書きますが、 りりこは単なる凶暴なモンスターではない。 彼女がとうの昔に踏み潰してしまった、 素朴な普通の女の子としての彼女が、 妹との会話のシーンにだけあらわれています。 地味に好きなシーンです。 岡崎さんの短編に、「水の中の小さな太陽」というのがあります。 これも今はもってないんですが・・・ あれの主人公も似てますね。りりこほどのタフさはないですが。 でもあれは明らかにサッドエンド。破滅。しかし、 ヘルタースケルターの大きな魅力のひとつは 単なるサッドエンドでは終わらないところかと。 明らかに空気の違う、わけわかんないラスト。 でもそれがいい。それなのにいい。 自分をめちゃくちゃにして、他人もめちゃくちゃにした彼女の行き着いた先。 それがありきたりな破滅ではなく、もちろん安っぽい後悔や改心でもなく、 そうきたか!!なラスト。不思議な爽快感。 彼女の生き方は普通の道徳観からいえば明らかに”間違っている” けれども、間違ってる人が皆不幸になったり破滅したりするわけではない、 というのが現実。 非常に非現実的なシチュエーションではあるが、ある意味とても現実的なラスト。 また岡崎さんの他の短編の話ですが、 名前忘れましたが人殺しまくった夫婦が幸せな生涯を終える話があります。 こういうリアリズム好きです。 岡崎さんの作品はご都合主義的な無理やり感を感じさせないところもいいですね。 絵は正直・・・下手だと思いますが・・・ それでも傑作と謳われるほど、ストーリーテリングが巧みです。 ちなみに吉川こずえは同著者のリバーズエッジにも出てきますが 別人格ですね。 ヘルタースケルターの方かっこよすぎでしょう。 まぁ好きじゃないですが。 彼女をかっこよく軽やかに描きつつも、 彼女の傲慢なプライドは結局皮一枚で彼女が美しいからにすぎない、 と切って捨てるナレーション?がいいです。 人々は飽きっぽく、欲望の対象は常に移り変わるという現実をとらえながらも、 欲望を否定するのではない、むしろ積極的に肯定する姿勢が好きです。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
何が人生の成功なんだか,
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レビュー対象商品: ヘルタースケルター (Feelコミックス) (コミック)
この漫画はさみしい。
岡崎さんの書いた帯「いつも。たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ちかた。」 まさにそれだったから。 「あたしには好きな人も愛してくれる人もいやしない…」 世間の注目を不動のものにすべく美しさに執着し、あらゆる手段をいとわない。 人を痛めつけて世間にささやかに復習する。何にもならないと悟りながら。 最後のりりこの去り方はすごい。いつまでも消えない方法で。
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