日本では報道されることの少ないロシアで今何が起こっているのか、
分かりやすく書かれている。
とても勉強になった。
ただ、終盤で「日露両国のマスコミは完全に政権支持」と延べ、
政権によるジャーナリズムの統制や、国民の右傾化、
少数民族への弾圧(ロシア)と東アジア人問題(日本)を同列に扱い、
そこから亡国へのシナリオを導く展開には非常に無理があると感じた。
日本のマスコミはむしろ安易な政権批判を繰り返していると感じるし、
「国民の右傾化」は未だ多くの日本人にとって身近に感じられない問題だ。
そもそも筆者は、問題視している「国民の右傾化」が、
テレビや新聞からではなく統制の難しいインターネットにおいて
始まっている点をあえて無視しているようだ。
本書を読む限り、ロシアでは、統制されたマスコミにより誘導された
ナショナリストが、主にツールとしてインターネットを用いており、
日本とは状況が根本的に異なっていると思う。
また、数万人規模で虐殺されているチェチェン人と在日外国人とを比較するのは、
チェチェン人に対して失礼だとすら感じた。
チェチェンの悲劇的な現状を知らせる良書と感じていただけに、
最後の展開がとても残念だった。