野村ファンでやスワローズを愛する者として、
本書は極めてショッキングでありました。
本書の後半に込められたメッセージは、
一言でいうと「アンチ野村」。
著者はスワローズの黄金時代を築いた一員である、
片岡元スカウト部長。
90年台のスワローズ黄金時代、
舞台裏で何が起きていたかが語られる。
野村元監督の横暴、伊東、古田等スター選手やコーチの言動。
壊れていった伊藤。
そして長嶋一茂。
野村本はほとんど読んでいる野村ファンではあるが、
片岡氏の語り口に一面の信憑性を感じ取れる。
野球を愛する者の目線は純粋であり、
スワローズに対する愛情にも満ちているからだ。
それだけにショックだ。
第5章は長嶋一茂を中心の章である。
ここでは父長嶋茂雄以下、立教大学の卒業生、関係者の名前が数多く登場する。
大沢、杉浦といった球界の重鎮である。
片岡氏は長嶋らと立教黄金期にレギュラーを勤めた、
いわば球界立教閥の幹部なのだ。
5章からあえて深読みすれば、
この5章というのは、
当時、長嶋に挑戦することで、
自らを鼓舞してきた野村元監督に対する、
球界立教閥の視線であったのかなと思う。
野村元監督と対立して片岡氏はスワローズを去るが、
ファンからしたら悲劇でしかない。
あの黄金時代はすでに記憶の中に埋もれているが、
その記憶を鮮明に思い起こさせるインパクトに満ちた1冊である。