「kamipro」に掲載された、ジェラルド・ゴルドーや真樹日佐夫、表紙にもなっている後藤達俊ら、いわゆるプロレスの保守本流から若干逸れた、それでいてその核心を衝くコアな人たちへのインタビュー集です。なかでも、巻頭を飾るゴルドーの、k−1や今はなきプライドに出場する面々を向こうに、自分こそ最強とする言説や、生前最後のインタビューで中島らも氏が語る、力道山死後の日プロの馬場の試合を見ていて、「こういうものを見ていたら、人間がダメになってしまう」と一旦プロレスから離れながらもまた戻ってきた件りなど、といちいち書くのがもどかしくなるほど、ある年齢、ある種の人にはヒットする一冊になっています。確かに90年代の新日やFMWをはじめとする、今となっては最後とも思える盛り上がりに比べると、近年の地盤沈下したプロレス界の惨状には目を覆いたくなるものがあります。個人的にもサムライTVで中継を見るのは格闘技ばかりなのですが、だからといって果たして十年後、本書と同様の趣旨の格闘技版が出され、そのなかでたとえばシウバやミルコがUFCやプライドの内幕を語ったとしても、本書ほど楽しめるとは思えません(質が違うだけという気もしますが。ただ、『薬』に関するものなら、それなりの下世話な気持ちで読むでしょう)。やはり、本書は「底が丸見えの底なし沼」と言われるプロレスだからこそ出来る楽しみ方であるように思います。昨今、若手芸人に取り上げられる越中なんかを笑える方であれば、プロレスを知らなくても十分楽しめるのではないでしょうか。お勧めです。