おそらくアントニオ猪木氏についでの知名度を誇る佐々木健介の健介オフィスで、現在アドバイサーを務めるマサ斉藤さんの生い立ちから、アメリカでの収監、日本への定着までを語った自伝です。裕福な幼少期、そこそこ荒れた高校時代、明治大学入学、オリンピック出場、憧れの日プロ入団と幻滅を経て渡米、そして収監に至る経緯が、読み飽きしない平易な文章で語られています。一貫して、本書の終わりでも出てくる、氏の口癖である「ゴー・フォー・ブロークく(当たってくだけろ)」の、悪い言えば行き当たりばったり、よく言えば腹の据わったその姿勢に、「ワールド・プロレスリング」の解説で聞かせていた歯に衣着せぬコメントを思い出させられました。「猪木さん」「馬場さん」という呼び方や、タイガー服部さんをはじめとする後輩への言及、長州力についての意外に冷静な分析に、マサさんの周囲の人たちとの距離の取り方が伺えて、好感という言葉を使うのはすこし僭越な気持ちもしますが、とても印象深くありました。最近はメディアへの露出がめっきり少なくなってしまいましたが、ぜひ日本マット界についての著作をもう一冊出してもらいたいです。