このカメラに興味をもつユーザーは、ローライ製の二眼レフと競合すると思われるので、GF670の特徴をあげながら、この両者を比較対照してみる。
まず外観は折りたたみ式ゆえに、ブロニータイプでありながら極めてコンパクト。レンズを出すときに、左手の指とレンズ前面が接近するので注意。ネックストラップがタテ吊り方式なので、重いレンズが下側になり重量バランスは良好。これが一般的な水平吊りではレンズが常に下方を向くことになり、当てキズの原因になるだろう。
ピント合わせのファインダーはライカ並みに明るく、暗い室内や夜間撮影でも充分実用できる。さらにコシナ製の視度補正レンズが別売りで用意されているので、近視なら−レンズを、遠視や老眼なら+レンズを接眼部にネジ込み式で装着すれば、すべてのユーザーに対応できる。ファインダーの視野率は公称88パーセントで、視野枠よりも余分に写りこむ範囲が広く、あるていどの慣れが必要。だがローライ型と異なり、余分に写りこむ範囲は常にファインダー上で視認できるので、わさわざカメラを前後左右に振る必要はない。
シャッターは電子式で絞り羽根と兼用しておらず、そのため絞り羽根のカタチが真円に近くボケ味は美しい。とくにピントが合った位置から、少しづつボケてゆく形に崩れがないこと、それがピントの合った部分と対比され、より立体的に見える点は絶賛したい。シャッターの動作音は世界最小クラス、街中の喧騒では聞き逃すほどだが、動作音に惑わされて油断すると低速30分の一秒では手ブレする可能性が高い。おおむね手持ち撮影の最低速度は60分の一秒以上と認識したい。競合するローライ型は絞りとシャッターを兼用しており、その動作音とホケ味ではGF670より劣る。
露出は絞り優先オート、これはボデー前面の外部露出計で動作するので、逆光またはカメラ本体の位置と撮影対象の光線状態が異なる場合は、誤差が出やすいタイプ。一方のローライ型はファインダーレンズを通過した内部で露出を計るので誤差が出にくいタイプ。ただしGF670ではダイヤルにより3分の1刻みで、前後ふた絞りまで任意補正ができ、その操作感覚と操作の所要時間はローライ型よりも優れている。
フィルム巻き上げはノブ式、そのトルクが均等で意外にも巻き上げスピードは速く快適。レンズを収納すると自動的にシャッターが押せなくなる構造。この点もローライ型のようにシャッターロックのレバーを別に操作するタイプよりも優れた一面。
フィルムの交換は、赤ボタンを押すとフィルム軸の一方がバネ仕掛けで飛び出すしくみ。これは従来のブロニー型カメラにないアイデアで、交換作業に要する時間はローライ型よりもはるかに短い。ただしレンズを収納したままのフィルム交換では、レンズの後玉が指に触れやすく細心の注意が必要。
GF670の最大特徴とする蛇腹の採用は、カメラ内部の内面反射を激減させ、レンズ本来の性能を引き出すことに成功。そのため逆光の撮影でもコントラストの低下は最小限、むろん順光でも画像の先鋭度は高い。ローライ型ではカメラ内部のレンズ周りを見ると平面が多く単純なツヤ消し塗装だけの簡易構造なので、もはや比較にならないほどGF670の優位は明らか。ローライが装備するツァイスレンズが、鉛筆硬度Hの描写でやや細かい感じに例えるならば、フジノンの描写はHBていどで少し柔らかな印象。中距離の描写では両者甲乙つけがたいが、遠距離および無限大の描写はフジノンのほうがシャープ。
以上、おおむねローライ型よりもGF670は優れているが、フィルターの装着方法が唯一の欠点だろう。専用フードの後ろ(レンズ側)にネジ込む方式は時間がかかり過ぎるうえ、フィルターのガラス面に指が触れるリスクが大きい。別の手段として専用フードではなくレンズ枠に直接ネジ込む方式では手間はかからないが、フードを取り付けるとフィルム画面に写りこむのでフードの装着を断念しなければならず、一長一短がある。