1998年頃のインタビューで、シリーズものを書く利点を尋ねられた著者のパーカーは、「主人公だけでなく、さまざまなキャラクターを操るチャンスが生まれる」と答えたという。
第一作「ゴッドウルフの行方」(1973年)で登場した私立探偵スペンサーは、フィリップ・マーロウに対するオマージュ的存在の、孤独で饒舌な一介のタフガイに過ぎず、恋人のスーザンはもちろん、相棒ホークさえ登場していなかった。やがてシリーズを重ねる毎に、スーザンやホークはもちろん、クワーク、ベルソン、モリス、マーカスといった脇役達にもすっかり血が通い、それぞれ誰が、どんな生き様と美学を持っているかさえ読者と共有できる程になった。
そして37作目となったこの「プロフェッショナル」では、セックスを武器にしたイケメンの強請屋が登場。「趣味を仕事にしただけ」と悪びれず語るその生き方に、意外な好感を抱くスペンサーの姿が描かれている。敵役に魅力があると、多少ストーリーに難があっても読み通せるという典型。