本書はアメリカの「広告宣伝業界の開祖」である原著者が、1928年に刊行した本であるが、少しも古めかしさを感じさせない。それどころか、プロパガンダのテクニックは、多少は洗練されたにせよ、80年前とほとんど変わっていない。むしろ本書には、変な気取りがない分、本質を理解するのに役立つ。訳書としては2007年刊行の「プロパガンダ教本」の新版であり、内容が一部拡充されたほか、訳者解説が適確で有用である。
プロパガンダとは、政治家や企業が大衆を、それと気付かせることなく、考え方を支配することである。政治においては、戦争時に、国民を鼓舞し、敵に向かわせるために不可欠とされる。ナチス・ドイツ、軍国時代の日本、そしてアメリカでは、政治家が国民を戦争に駆り立てるとき(ベトナム戦争、湾岸戦争、「テロとの戦い」、・・・)、プロパガンダが徹底して活用された。プロパガンダなしでは現代の戦争は成り立たないと言ってもよい。
プロパガンダは選挙でも大活躍する。さらに、マスコミ(特に新聞やテレビ)には、一見中立な報道と見せ掛けて、プロパガンダが隠されている。さらに、プロパガンダの「お上品バージョン」が、企業が多用するマーケティングである。本書によりプロパガンダのテクニックを知っておくことは、政治家やマスコミ、企業に騙されないために有用である。