主観的な事例研究ではなく、プロセス研究は量的な研究も質的な研究も含まれる科学的な事例研究であると感じた。そして、科学的な研究は理論的アプローチ間の対話を可能にする共通言語である。しかし、心理臨床家は大学院を修了したあと研究活動をしないし、関心を持たないというだけでなく研究に対して否定的な見方を持つ。
本書を読んで、感心したのは、心理療法の多くの文献は経験豊富な大家によって書かれ、一般的な臨床家は、ある一定の概念や手続きをマスターして、実施・施行することが自分の役割と感じているだろうが、プロセス研究は、臨床家自らの臨床活動の中で発見し、そして自身の仮説を検証するという点において、一人ひとりの臨床家を分野の作り手であるとみなすということである。データをプロセス研究に提供することで、心理療法の分野を先に進ませることができる。臨床経験を臨床知見として発展させることができる。
それぞれの章の終りに「まとめ」があり、その章で学んだことを5行程度にわかりやすく書いてある。その後ろに学習を深めるための参考文献が2冊程度紹介してある。