あまりにも有名なキャノンのコピー機開発のストーリー。当時ゼロックスの天下だった普通紙コピー機の市場にキャノンが参入し、ゼロックスの技術(特許)を回避しながら独自コピー機を創り上げたプロセスを描いたものである。
このDVDは3つのストーリーを見るものに教えてくれる。ひとつは、戦後日本が躍進した原動力となった数々の発明は、非常に苦しい技術開発の過程を経たものであること。キャノンのコピー機開発では謎の放電が発生し、その放電は非常にささいなことが原因で起きている。どうやって技術者はその原因を突き止めたか? それは不眠不休の研究成果と、「あきらめない」という不屈の精神が成し遂げたとしかいえない。いまの日本に足りないのは、実はこの不屈の闘志なのではないかとすら思う。
そして実はこの開発を支えたのは、経営陣の不断のサポートだ。コピー機は完成まで長い年月をかけ、しかも社内からはお荷物扱いされた。それでも経営陣は開発を支え続けた。またゼロックスとの特許係争も、いまの万事問題回避的な風潮の強い日本企業では、堂々と渡りあったかどうか疑問が残る。
そして最後に、技術というのは、コピーされ、コピーしていくものだということだ。昨今、韓国や台湾、中国の製造業での躍進著しく、特に中国は安い人件費をベースに独自のものづくりを展開している。それでも一部では「あれはコピーさ」と侮る風潮もある。しかしキャノンをゼロックスの視点から見れば、ゼロックスが創り上げた基本コンセプトをコピーし、改良して特許を潜り抜けたに過ぎない。特許を回避したい以上、ビジネスとして文句を言われる筋合いはないものの、本質的には技術はコピーされ、コピーして発展していくものなのだ。もっといえば、コピーされるような技術を創り上げること、そして常にそれを改良していく不断の努力こそ、経営には求められるのではないか。