本書の最大の特徴は、生産管理システムを工場管理全般まで広げて捉え、システム利用者の視点から生産実務を説明していることであり、これまでには無かった視点から生産管理を捉えている。
えてしてSEは「習ったこと、聞いたこと」を前提に、システムの枠組みを造ってしまい勝ちで、生産管理というと直ちにMRPと考えてしまうが、本書を読むとMRPやBOMなどは、現実の製造現場とは関わりの無い、理論やITの問題という、当り前のことに気づかされる。現実に生産管理システムは導入しているが、機能していない、使い勝手が悪い、という工場が多い。SEはもっと現場・現実を見ろということであろう。
本書の内容に基づく生産管理パッケージが実際に開発されており、その「外部設計書」が附章となっているのも珍しい。著者が言うようにシステム開発に際してのテンプレートとして活用できそうだ。また管理者層には、現在の自工場のITシステムを再評価するベンチマークとして活用できるのではないか。
アプリケーションSEと発注側の工場担当者、両者にとって実務書として推薦できる良書と思われる。