特にプロコフィエフのほうが顕著です。この曲自体はただのガンガンピキピキした神経をいらだたせ逆なでするような曲ですが、フランソワが弾くと他の演奏家では見過ごしてしまうような響きを拾い、メロディーとして浮かび上がらせ歌う、というフランソワの特徴によってこのマニアックな曲におそらく誰でも引き込まれてしまうことでしょう。ならばただのトロい演奏家といえばさにあらず、むしろ情熱にまかせて突進していく様は、最近の演奏家、名前を挙げるのは控えさせていただきます、達のおりこうさんかつ機械的な演奏がバカらしくなります。加えてあれほどいやだったプロコフィエフの作品が好きになってしまうから不思議なものです。ホロヴィッツの演奏に比べて線が太いような気がします。どちらも激しいのですが、フランソワのほうがフレーズとフレーズの間に独特の間とかタメが存在していて、聴いているほうは引き込まれ、自分が演奏している心地になります。
スクリャービンは、ショパンの影響が濃厚な作風の時代の作品です。フランソワらしい夢見るような境地にあふれていて当然お勧めです。この曲だけではなく、スクリャービンの作品をもっと弾いてほしかったなぁ、とこのレビューに関係ないことを思ってしまう程、興味がわいてしまいます。
この演奏はステレオで聴けるということも加味して星5つです。