これからこの商品の購入を検討されている方が最も気になるのは演奏と録音の是非であろう。
演奏…この盤の目玉である9つのソナタに関していえば、
この複雑な作品群をよく勉強していて快演であると言える。
特に、有名な6番と7番は各楽章ともポリーニやポゴレリチ、リヒテルらと
比較しても何ら遜色ない仕上がりだ。
両ソナタの終楽章は数ある録音の中でも最速の部類に入るだろう。
しかし、DISK3に収録されている4つの練習曲とトッカータの完成度は低い。
4つの練習曲はあまり録音が多い作品ではないので、私自身、どうゆう演奏が名演と言えるのか、
まだ釈然としていないのだが、明らかにテンポが遅く、ケンプなどの演奏の方が
若かりしプロコフィエフの作品に見られる技巧的で、良い意味での粗野さがある。
トッカータは壮年期の作品の中でも最も超絶技巧と深い理解を要する現代的な作品だが、
極めて特徴的な作品のために録音も多いので比較がし易い。
この演奏はテンポが遅い上に、時折、リズムが乱れるために曲の輪郭が漠然としている。
こういう無機的な作品だけに聴いていて疲れるような印象を持った。
録音…いずれも1990年代の録音で全体的に良好なのだが、8番のソナタのノイズが少し気になる。
それよりも気になるのがピアノそのものの音質である。
これはソナタ1〜9番全てに言える事だが、次高〜高音の響きが非常に陳腐である。
おそらくはハンマーのヘッドが硬化していて、あまり整音されていない状態なのであろう。
ボリュームを上げて聴くと耳を劈くような非常に硬い音だ。
しかし、ジャケットが好みなのも相まって、購入したのには満足している。
皆様の参考になれば幸いです。