書画という視覚芸術を言葉で伝えるのは、土台無理なことである。どんなに言っても始まらない。筆力に乏しい私ごときものがその美を見ていない人に伝えることは至難のわざである。
本書は書家の十二支別作例集が中心をなす。味わい深い個性ある書家の筆跡を直接見て、自分の発想のヒントにすればいいのだろう。
ここでは書かれている文面内容で感動したものをいくつか抜粋しておきたい。
謹みてとしのはじめのよごときこえあげ候(尾上柴舟)
年立つやもとの愚が又愚にかへる(小林一茶)
何となく今年はよい事あるごとし元日の朝晴れて風なし(石川啄木)
正月やよき旅をして梅を見る(河東碧梧桐)
年賀状に書きたい【賀詞・吉語集】
佳(カ、よい、美しい、すぐれている) 祥(ショウ、きざし、よろこび、めでたいこと) 慶賀(けいが、よろこびいわうこと 麗新(れいしん、うるわしくあたらしいこと) 恭賀新春(きょうがしんしゅん、つつしんで新春を祝う事 敬頌新嬉(けいしょうしんき、新年の幸福を敬いたたえること)など。
せっかくの年一回のご挨拶、相手に思いをはせながら、手書き手作りにこだわってみたいものだ。