著者は、山形県の小学校教諭として教鞭をとり、道徳教育に関する著書
も多数出版されている方である。
本書は、クラスを上手くまとめ、児童・生徒といい関係を築くための
アドバイスをまとめたものである。
本書のスタンスとしては、タイトルでは「ほめ方、叱り方」となって
はいるが、「ほめる」ことを教育の根本に置いた視点で書かれている。
ほめることによって、叱ることなく(あるいは叱る前に)児童・生徒を
望ましい方向へ導き成長させる教育手法を提示したものである。
本書の特長としては、指導の仕方が具体的に提示されていることである。
例えば、朝の会や帰りの会、授業が騒がしい時、ケンカが起こった時、
保護者に連絡する時、人の話を聞かせたい時等々の具体的な場面を設定
し、そこでの対応の仕方を、時に児童・生徒とのやり取りを会話で示し
ながら提示している点である。このため、実践上すぐに役に立つものも
多いだろう。
また、本書を通して著者の教育スタンスが「ほめる」ことが根本にある
こともあるが、温かい教育書らしい本になっていることも特長であろう。
筆致も分かりやすく簡潔で、本書のレイアウトも見やすく工夫されている。
ただ、著者は小学校の教諭であるため、教育概念的なものは共通する
ものの、中学校や高等学校、あるいは大学短大の生徒・学生を相手にして
いる方には、生徒・学生の反応の仕方が小学生とは違う点で、具体的な対応
については、応用しにくい場面も所々見られるかもしれない。
本書に限ったことではないが、この種の教育書は、もっと校種別に分化
してもいいと感じる。成長段階にある小学生〜大学生までは、校種別で
児童・生徒・学生の気質や趣向も全くといっていいほど変わってくる。
つまり、同じ教育理念であっても、「実践」の仕方は大きく変わってくる
ことを考慮すれば、校種別の具体的・実践的な教育書がこれから多く出版
されることが日本の教育力向上の一助になると感じる。