このアルバムは録音スケジュールを締切り直前に設定し、切羽詰まった状況のなかで製作された。前年に自らのレーベルを設立したほどの大御所だから、締切りを延ばそうと思えばいくらでも出来たのだが、わざと自分達を追い込んだのである。馬車馬のように働いた彼らの疲労感がラスト曲(7)の歌詞に表現されている。
狙いどおり切迫感と緊張感に満ちたハードな作品となったのだが、ただメタリックなだけのアルバムにはならなかったのが、彼らの器の大きさを物語る。ペイジの変拍子リフと、ボンゾの微妙にズレるビートは、基本的にはファンク指向なのだが、黒人ファンクのウネリ感とは別物の、いまでいうドラムンベースに近い独特なビート感を生みだした。90年代に後期Zepの音楽性がようやく理解され、いわゆるミクスチャー・ロック勢が続出したにもかかわらず、いまだに誰も真似できない高みにこの作品は達している。
「プレゼンス」製作中のペイジのテンションの高さは他のメンバー達に印象的であったようで、ペイジ自身も音楽生活を初めて以来最高のテンションだったと語っている。この時期のペイジはヘロイン中毒が進み、ライブでも酷いパフォーマンスが目についていた。ヘロインにはまったミュージシャンはまず間違いなく駄目になってしまう。ペイジは才能の枯渇を感じ、このアルバムに賭けたのであろう。日本では最高傑作と言われることの多いアルバムであり、僕自身も同意するが、ジミーペイジという巨大な才能が失われる瞬間の記録でもあったことを思うと、大変複雑な気持ちになってしまうのである。