今でこそ、ダークな社会問題をテーマする映画が増えたが、これはそのさきがけ的作品。もちろんエンターテイメント満天。シリアスだけどエンターテイメントという作風はなかなか両立できないものですが、うまくいっていると思います。
自分自身も海外勤務経験者で、扱うテーマが他人事ではないと感じました。まずこの十数年のあいだに海外要人誘拐とこれに対抗する誘拐保険業および身代金交渉と人質救出を担当する企業の台頭で誘拐ビジネスが数十億ドル規模で成長し、先進国多国籍企業にとって厄介な問題となっている社会的現実。
誘拐する側はテロ集団や反政府組織などで、南米の裏社会と貧富の差が浮き彫りになる。これをテンポのいいドラマで展開し、上記の社会的問題を飽きさせないように作られている。ヒューマンドラマ的な部分も負けず劣らず展開し、人質交渉といよいよ敵との直接対決の作戦は成功するが、ハッピーエンドにはならない終結で、ラブストーリーまで絡ませるのには難があったかも。ラッセル・クロウならキザなので、こういう終わり方も許容範囲でしょう。
本作では敵方となる反政府軍事勢力の、山岳での実生活や組織形態が詳細に描かれ興味の注がれるところ。また対決するラッセルを中心とするグループは各国の軍の特殊部隊上がりの設定であり、軍事行動としてとてもリアル。
戦闘バトルものだと、ひとりの超人が100人を倒すといった現実離れしたものが多いなかで、硬派の映画なのに軟派のストーリーを織り交ぜるといった手法にどれだけ賛同してもらえるか。社会問題の映画はたいがいは大ヒットしないのでシリアスが好きという方に受けるかな。