本書は、2005年6月に54歳で急逝した、国際的なプルースト研究者、吉田城の遺稿集である。『失われた時を求めて』の膨大な草稿を緻密に調査研究し、フランスで最も権威あるプレイヤッド版の校訂まで手掛けた吉田が、晩年とくに精力的に取り組んでいたテーマに、身体および病の問題がある。著者が遺した「『プルーストと身体』著書構想」というメモを基に、吉田とともに常に日本のプルースト研究をリードしてきた吉川一義が論文の選定・構成にあたった。
第一部「プルーストの身体感覚」では、喘息や不眠症、消化不良、性的失敗などの作家自身の身体問題と創作との関わりを論じる。つづく第二部「『失われた時を求めて』における身体表現」では、作品の登場人物たちの身体の描かれ方に焦点を当てる。第三部「同時代の身体表現とプルースト」では、当時パリを席捲した、躍動的なロシア・バレエの世界や、人々が経験したばかりの飛行感覚について論じる。病や性愛、運動の<場>としての<身体>を軸に、二十世紀文学の至宝『失われた時を求めて』が鮮やかに読み解かれる。
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